
鉄道 1978年 コルカタ(カルカッタ)
1978年、ダージリン鉄道を見るためにインドに行きました。エア・インディアのボーイング707のニューデリー行きは、香港とバンコクで給油を経て、当時カルカッタと呼ばれていたコルカタまで、約11時間を要しました。旅の主目的はダージリンでしたが、コルカタ周辺の鉄道や市電も撮影しました。当時はダージリン以外のインドの鉄道事情についてはまったく知識がなく、ここに記した機関車の解説の大部分は、後年インターネットで調査した内容に基づいています。(1978年11月)
バルドワン・カトワ鉄道




バルドワン・カトワ鉄道(Bardhaman–Katwa Railway)は、西ベンガル州のバルドワン~カトワ間53kmを結ぶ路線で、1915年に開通しました。この当時は762mmゲージでした。AK6とBK4という2輌の機関車が運行していました。どちらも0-C-2のタンク機関車でBK4は1914年、AK6は1916年に製造されました。この路線はのち2018年に広軌化(1,676mm)・電化されています。(バルドワン附近で撮影)
ハウラー蒸気機関区の蒸気機関車






コルカタのハウラー蒸気機関区(Howrah Steam Loco Shed)です。東インド鉄道(East Indian Railway/EIR)のクラスSG形と思われるペルペア火室でインサイドシリンダーの古典機、軸配置2-C-1の旅客用のWP形、軸配置1-D-2のタンク機関車WT形がありました。WPは(W=広軌、P=旅客)の略でWP7201は1947年のアメリカのボールドウイン製、WP7249と7272は1949年のカナディアン・ロコモティブ・カンパニー(Canadian Locomotive Company / CLC)またはモントリオール・ロコモティブ・ワークス(Montreal Locomotive Works/MLW)の製造です。WTは(W=broad gauge,T=Tank Engine)の略でチッタランジャン機関車工場(Chittaranjan Locomotive Works/CLW)で1959年~1967年頃まで製造された都市近郊区間の通勤列車や構内入換に使用された機関車です。
蒸気機関車(貨物用)


左はWG形です。WGとは(W=広軌、G=貨物)の略で、1950年~1970年に2,450輌がイギリスのノースブリティッシュやバルカンファンドリをはじめとして、ヨーロッパ各国、更に日本の日立、インド国内のチッタランジャン機関車工場(CLW)で製造された貨物用の大形機関車です。ボイラーやテンダーは旅客用のWP形と共通です。右の機関車はハウラー駅で撮影したもので、WG形より小型の1-D-1軸配置の機関車ですが、形式は分かりませんでした。
蒸気機関車(旅客用)


どちらも大形の2-C-1軸配置の旅客用機関車で、左のXC形は1928年~1931年にウィリアム・ビアードモア・アンド・カンパニー(William Beardmore and Company)やバルカンファンドリで72輌製造された機関車で、形式XCとは(X=広軌、C=中~大形機関車)を表します。このXC2225はコルカタ近郊のバルダマーン周辺で撮影したものです。同じく右のWP形もバルダマーン周辺で撮影したもので、大形の旅客用機関車でありながら逆牽でした。
ディーゼル機関車


左のWDM-2形は(W=広軌、D=ディーゼル、M=貨客両用)2形です。1962年にアメリカのアルコで設計試作し、その後技術移転契約によりインドで国産化され、バナーラス機関車工場(BLW)で約2,700輌製造されました。国内で使用するだけでなくスリランカやバングラデシュにも輸出されました。WDM17856、18758は17シリーズで1970年代の製造で、2025年現在ほとんどが廃車されています。
右のWDS-4形は(W=広軌、D=ディーゼル、S=入換)の4番目の形式という意味の入換用ロッド式機関車です。1967年から1990年にチッタランジャン機関車工場(CLW)で662輌製造されました。2025年現在ほとんど廃車になっているようです。
電気機関車


左はWAM-4形は(W=Broad Gauge,A=AC電化,M=Mixed貨客両用)4形で1970年から1983年の間にチッタランジャン機関車工場(CLW)が500輌製造した交流25kVの幹線用電気機関車です。
左からWAG-1形の20311と20309です、WAG-1形は(W=広軌,A=AC電化,G=貨物)で1963年から1966年にクラウス・マッファイ、クルップ、フランス鉄道車両製造会社(Société Française
de Construction et d’Assemblage de Chemins de fer/SFAC)、ラ・ブルジョワーズ=ニヴェル鉄道車輌製造会社(La Brugeoise et
Nivelles)で製造された機関車です。すでに全車廃車されていて1輌がインド国立鉄道博物館に保存されています。
右の画像の中央はWAG-5形の20859です。貨客両用機関車であるWAM-4形を貨物専用として1978年から1997年にCLWおよびバーラト重電機(Bharat Heavy Electricals
Limited/BHE)で1,173輌製造された機関車です。そして右はWDM-2形17シリーズです。
電車


コルカタなどの大都市近郊用の電車です。インド国鉄直営のICF(Integral Coach Factory)で製造され1970年代から1990年代に使用されました。この車輌のドアは手動で常時開いているというものでした。
コルカタ市電






西ベンガル交通会社(West Bengal Transport Corporation/WBTC)が運営する路面電車で、以前はカルカッタ・トラムウェイズ・カンパニー(Calcutta Tramways Company/CTC)が経営していました。コルカタ市内に路線を持つインドで唯一残る路面電車です。1880年に馬車鉄道として開通し、その後蒸気動力になり、1902年に電化されました。アジア最古の現役路面電車です。1970年代には25系統以上、全長約70kmの路線がありました。しかし地下鉄の開通などで路線は縮小し、2025年現在はわずかに数路線が残るのみとなっています。単車や連接車などバラエティに富んだ車輌は興味深いですが、移動するバスの車内から撮影しただけなので、残念ながら具体的な形式や場所等は確認できませんでした。