
サバ州博物館の保存車輌
コタキナバルの丘陵にあるサバ州立博物館は、サバ州の自然史・考古学・民俗などの展示がありますが、屋外には鉄道車輌や自動車などの乗り物が展示されていて、ここは無料で見学することができます。ここの蒸気機関車について解説します。
3-006 GAYA号機関車




3-006号GAYAは1913年にイギリスのリーズにあるハンスレット社で製造した製造番号1110の機関車です。最初は軸配置2-C-2のタンク機関車でしたが、1954年にタンジュンアルの工場で2-Cテンダー機関車に改造されました。GAYAとは、タンジュンアル附近のあった駅の名称だと考えられます。1996年にPeter氏が撮影した時は屋根がありませんでしたが、2012年には屋根が出来ていました。
No.7 Sir H. Ralph Hone号機関車




No.7 Sir H. Ralph Hone号は1912年のハンスレット社製造した製造番号1092の2-C-2タンク機関車です。外見と軸配置から上記のタンク機関車と同形であった可能性が考えられます。1912年から1957年までは旅客用、1958年から1968年までは貨物用として使用されました。ラルフ・ホーン(Sir H. Ralph Hone)はイギリスの法律家・軍人で1950年から1954年にサバ州の総督および総司令官を務め、戦時中の荒廃からの復興に尽力しました。
センチネル 13号トラム機関車






13号は1927年にイギリスのセンチネル社(Sentinel Waggon Works)で製造した製造番号6375のB形垂直ボイラーのトラム機関車です。動力はチェーンで車輪に伝えるという方式でした。センチネル社は1875年にイングランド・シュロップシャー州シュルーズベリー(Shrewsbury)で創業した蒸気トラックや垂直ボイラー機関車の専門メーカーでした。垂直ボイラーは小型で狭隘な工場、港湾などや駅構内や支線での使用を目的としたもので、会社解散する1957年にまで製造されました。銘版のB.N.B.S.R.とはBritish North Borneo State Railway(英領北ボルネオ州鉄道)の意味です。
SIMPLEX ディーゼルまたはガソリン動車


SIMPLEXと書かれているディーゼルまたはガソリン動車は、イギリスで1911年に創立したMotor Rail & Tramcar Co. Ltd.の製品と考えられます。ブランド名としてSIMPLEXを使用していました。軌間は1000mmより狭く感じますが、実測しませんでしたので詳細はわかりません。第一次大戦中英国陸軍に大量の塹壕用機関車を納入しました。戦争終了後は大量の機関車が余剰になり、世界各地に払い下げられました。特にアジア(インド、東南アジア、台湾など)で製糖工場や鉱山に再利用されました。ただし、この機関車がそれにあたるかは分かりません。
トロッコ

もう一つの鉄道車輌がトロッコです。先端を丸く削ったバッファーがついていました。詳細については不明です。